けテぶれ〜学習力を伸ばす宿題革命〜

自立した学習者を育てるため、「けテぶれ学習法」を考案し、実践しています。教育に関することを千思万考し、見えたものを投稿します。フェイスブック:https://www.facebook.com/shota.kuzuhara ツイッター:https://twitter.com/barikii

「いくら言っても丸付けをしない子がいる」

けテぶれを実践している方からの相談で「いくら言っても丸付けをしない子がいる」というものがあります。
結論から言うと、子どもは言ってもやりません。もう少し詳しく言うと「言ってやる子は一度言えばやりますが、言ってやらない子はいくら言ってもやらない」です。その差何か。ざっくりいうと「ピンときているかどうか」です。誰でもそうですよね。ピンときたら一発で行動は変わるけど、ピンとこなければいくら同じことを言われてもやらないです。(もしくはカタチだけやっているポーズを取るだけです。)
じゃあピンときていない子にはどうするか。大きい子向けのアプローチと小さい子向けのアプローチがあります。
大きい子向けのアプローチは「必要性を発生させる」です。何のために丸付けをしなければならないかにピンときていないから、やらない。じゃあ、その必要性が出たときに、語ってやれば変わります。それがいつかといえば、テストで失敗したときです。その瞬間まで待つのです。適当に丸付けをし続けて、テストを受けたらたくさん間違えた。そのときの大分析でノートを振り返らせ、丸付けに原因があるよね?と言う。そこでピンとくれば、その次からその子は丸付けをするようになります。まだ習慣化までは行かないので、忘れることもあるでしょう。しかし、そのときは、「こうやって丸付けを適当にして、前のテストで失敗したんだよね?」と言ってやれば、また頑張り始めます。なぜなら、丸付けの意義にピンと来ているからです。いえばやるという状態はこうして生まれます。
このアプローチが大きい子向け。ではもう少し小さい子にはどうすればいいか。それはゲーム化です。丸付けをゲームにしてしまうのです。具体的には、漢字テストに先生が答えを書き込む。10問中3問ほど、間違った漢字を書く。10問中1問はよく見ないと気づけないほどの間違いを作る。そのプリントを配り、丸付けを「間違い探しゲーム」にしてしまう。3問とも見つけられたことを喜び、4問目を見つけられた子を褒める。こういう力が、大切だと伝える。すると「丸付け」に対する意識が変わる。丸付けがしたくて、テストをするという意識が芽生える。
言っても言ってもやらない。という状態は、こうして変えられれるかもしれません。押してだめなら引いてみろです。力の入れ方を変えながら、色々試してみてください(^^)

中す?中せない?

西洋哲学ではテーゼに対してアンチテーゼがあり、その2つを折衷したものをジンテーゼとする。折衷することは「アウフヘーベン」という。相反するテーマに対してその両方を併せ持つ点を見出そうとする。

東洋哲学では陰に対して、陽があり、その2つを折衷したものは中庸。折衷することを「中する」という。ここで注意したいのが、後者の陰陽思想では「中」という一点を想定していない。全ては陰の中にも陽があり、陽の中にも印がある。陰陽は流転し、どちらかに偏らないように動き続けることを中庸とする。

この東西の哲学は相反するものではない。

たとえば「けテぶれ」。
系統主義と経験主義という2つの相反する主張を両方含む1点が「けテぶれ」である。この意味では、けテぶれは西洋的にアウフヘーベンされた答えである。

しかしけテぶれはあくまでインプット。それに対するアウトプットを想定しなければならない。それがNKS思考法。
陰のけテぶれ、陽のNKS思考法である。この陰陽の間を、どちらかに偏らないように動き続けることが必要。つまりこれこそが中庸。

こうしてアウフヘーベンされた答えの対なるものを想定し、その間を流転する。この流転の中からまた、アウフヘーベンされた一点が見出されるかもしれない。そうすればまたその一点から対なるものを見出す。ちょうど2重螺旋が収束して一点になり、その点からまた、新たな2重螺旋が始まるようなイメージである。

これは何を表しているのかというと、西洋哲学と東洋哲学の間を動く「中庸」である。

思考活動とはこうして連綿と続けられるのだと思う。

根本的な問いに向かい合う

Ⅰ.「学ぶってなんだろう

 学ぶ内容は年々増えて行く一方、各教科は専門分化していき、学びがタコツボ化しているように思われます。その中で、教科特有の学びはどれほど子どもたちの中に深く根付いているでしょうか。確かに深い教材理解に基づく教科専門性を生かした授業も必要ですが、その一方で学びを大きくとらえ、「学ぶこと」は具体的に何をする行為なのかを見極め、子どもたちに「学び方」を学ばせる必要があるのではないでしょうか。毎日学ぶという行為を繰り返している子どもたちにとって、その行為自体を客観的にとらえ、学ぶという行為そのものの質を上げようとする意識を持たせてあげることは、多岐にわたる学びを1つにまとめる視点として有効に働くのではないでしょうか。そしてその中で「自分なりの学び方」を探求することは、子どもたちの生涯にわたって役に立つ思考となりえるのではないでしょうか。私はそう考えて学ぶという行為を「自分の外側にある知識や技能を自分の内側に定着させようとする行為」と定義し、「計画、テスト、分析、練習」という4過程を繰り返すサイクルであるとしました。その頭文字をとって「けテぶれ」というキーワードで子どもたちと共有しています。

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けテぶれ学習法

 こうすることによって子どもたちは自らの学びを段階的にとらえ、自分の力で進められるようになります。「勉強しなさい」では何をしていいかわからない子も、「まず計画を立てなさい。その次に自分の実力をテストしてみましょう。」と具体的な行動を段階的に示してやることで、自分の力で自分の学びを進めることができるようになるのです。子どもたちがそういう状況になればまず、何を任せることができるか。それが「宿題」です。自分で学ぶことができるようになった子どもたちにとって「宿題」はもう、教師から与えられる必要がなくなるのです。私のクラスの子どもたちは、自分の必要に応じて必要な勉強を必要な分だけ、学習してきます。そういう学びは子どもたちにとって新鮮で、充実感があり、とても楽しそうに「自分なりの学び方」を探求しながら、学びを積み上げる姿が見られています。

Ⅱ.考えるってなんだろう

 私は学ぶことを「自分の外側にある知識や技能を自分の内側に定着させようとする行為」と定義しています。しかし、知的活動とは、それだけではありませんね。答えが1つではない問いに対して、自分なりの答えを模索し、探求し続けることも大切な知的活動です。そういう行為のことをここでは「学ぶこと」に対して端的に「考えること」と表現することにします。

 すると、先ほどの問いを同じ問いが浮かび上がります。「考えるって何だろう」という問いです。私はその問いに対して、考えることを「「自分の内側にある知識や技術を自分の外側に再構築する行為」と定義し、「抜き出し、組み立て、整理する」という3過程を繰り返すサイクルであるとしました。その頭文字をとって「NKS」というキーワードで子どもたちと共有しています。

 世の中の事象は「要素」と「構造」で成り立っています。「文章」とは単語を文法によって構造化したものですし、「机」は4本の足と天板から構成されていますし、「水」は水素原子と酸素原子が一定の構造をもったときに出来上がる物質ですね。そう考えると「思考」もいくつかのアイディアが自分なりの論理という構造をとって存在しているものと考えられます。

 そう考えると「思考」を形作るプロセスは、まずアイディアを「抜き出し」、アイディア同士の関係性を見ながら論理を「組み立て」ていき、最終的に要素と構造を他者に伝わるように「整理する」という流れであることが分かります。なので、私の学級では「考える」ことは「抜き出し組み立て整理する」ことだと定義し、その頭文字をとって「NKS」として子どもたちと共有しています。

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NKS思考法

 こうすることで子どもたちは自分の思考を、自分の力で形作ることができるようになります。するとまず、作文ができるようになります。考えを抜き出して、つないでいけば自然に文章が出来上がってきますので。同時に、文章を着実に読解することができるようにもなります。文章の大切なキーワードを抜き出し、そのキーワード同士の関係性に注意しながら論理構造を組み立て、整理していくと、「要約文」を書くことができるようになるのです。さらにこれのいいところは、教科書に載っている論理構造を意識しながら読み解くことで、序論の書き方、本論の具体例の並べ方、結論の導き方など、文章を高い抽象度で見ることができ、「読むこと」が子どもたちの「書く力」に直結するようになります。

 その結果、「優しさって何だろう」「友情ってなんだろう」「人を疑うこととはどういうことだろう」といった哲学的な問いに対して向かい合う姿を見せてくれるようになります。こういう事を言うと、驚かれるかもしれませんが、子どもたちの頭の中は疑問でいっぱいで、こういう姿のほうが自然なのです。ただ問いが頭に浮かんだ時、その問いに対してどう考えていけばわからなければ、問いは問いのまま消え去ってしまいます。問いが出た後には、アイディアを抜き出し、組み立て、整理すれば思考が続くと知って入れさえすれば、思考活動をどんどんと楽しむことができるようになっていくのです。

Ⅲ.よりよく生きるって何だろう

 これまで述べてきた知的活動以外にも学校には「○○しなさい」という指導場面が数多くあります。「忘れ物はなくしなさい」「廊下は歩きなさい」「友だちには優しくしなさい」「あいさつをしなさい」…学校には「あるべき姿」という目に見えない何かがあって、多くの先生がその姿に子どもたちを向かわせようとします。

 しかし「あるべき姿」は目に見えないので、先生によって微妙にいうことが多くあります。更に悪い場合には同じ先生でも気分によっていうことも…。こういう状況では教師の「○○しなさい」という指導は子どもたちにとってただの小言となり、深く受け取ることができません。目に見えない価値の基準は可視化し、子どもたちと共有することで先生も子どもも共に大切にし合うことができるようになります。この発想は前述の「けテぶれ」や「NKS」の考え方と同じです。「当たり前のこと」という言葉で隠されてしまう物事の姿を言葉にして、目に見える形にするということは、人と人が高め合ううえでは本当に大切なのです。

 知的活動よりももっと広い範囲について根本的に問うときに出会う問いこそが「よりよく生きるって何だろう」という問いです。かなり深い問いへと入ってきました。私はその問いに対する答えとして、下の様な図を作りました。名前を「心(しん)マトリクス」と言います。

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心マトリクス

 ここでは一つ一つ詳しくは説明できませんが、簡単に言うと縦軸は「自分に厳しく」という基準で、横軸は「人にやさしく」という基準で立てています。クラスの子どもたちとはこの図を共有し、クラスで起こる様々な出来事をこの図をもとに考え合っています。

 私の実践は学校で求められることを大きくとらえ、根本的に考えて、子どもたちと共有することで対話の土台を作り、子どもたちがよりよい姿を目指して高め合えるように環境を作っています。

 大切なことは先生の考えを押し付けるのではなく、「学ぶこととは、考えることとは、よりよく生きることとは」という問いを子どもたちとシェアし、ともに考え合えるような仕掛けを作ることです。そういうことをしようとした時、問いとともに一つの答えも共有すると思考の土台ができ、考えやすくなるのです。

けテぶれ本を出版させてもらえることになり、ちょっとこれまでの歩みを振り返ってみた。

思い起こせば2年前。2017年の8月。大学院時代の修了生が集まる勉強会で僕は発表者に立候補した。僕はその時、2つの実践を発表しようと思っていた。1つは算数。「算数の幹」もう一つが「#けテぶれ」。2本のプレゼンを作り、当日、発表直前までどちらから先にするか迷っていた。
 
壇上に立ち、その場で「#けテぶれ」から発表することに決めた。話し終わったあと、会場のみんなはとても興味を示してくれ、気づけば2本目の発表をする時間はなくなっていた。手応えを感じた。教育について真剣に考えている人たちに、この実践は響くかもしれないと。
 
2017年8月23日。1本目のブログ記事を書いた。フェイスブックでシェアすると、友人たちが興味を示してくれた。2学期が始まると、発表を聞いた友人の一人が実際に導入してくれ、ものすごい成果が出たと報告してくれた。発信を続けようと思った。
 
FBの発信では、とある大企業で責任のある立場にある方が僕の実践や考え方をにとても共感してくださった。記事をシェアするたびにコメントをくれ、価値を認めてくださった。そこから放置していたツイッターでも発信をするようになり、さるさん@saruesteacher を始め、たくさんの人達と繋がれた。
 
職員室で共感を得られず、自分の教室でひたすら理想を追い求めてきた自分にとって、志を同じくする先生が全国にたくさんいるという気付きはとても心強く、勇気をもらった。質問箱に匿名で、九州で講演会をしてほしいとメッセージが入ったときは飛び上がって喜んだ。その夢は京都で叶うことになった。
 
こう振り返ると、本当にたくさんの人達の前向きなエネルギーに背中を押されてここまで来られたと思う。自分ひとりではここまでできなかったという月次なセリフをここまで実感を持って言える日が来るとは思っていなかった。みんなの前向きなエネルギーに触れられなければ、僕は職員室の片隅で腐っていた
 
書いていて、また感謝の気持ちがこみ上げてきた。本当にありがたい。
発信を始めた日はいつだったのだろう?とブログを振り返ったらたくさんの思いが噴出して、なんだかつらつらと書いてしまった。なんか集大成みたいな感じが出てしまっているけど、全然そんなふうには思ってませんから笑
 
いつも、その日が新たなスタート。今日も一日、明日もまた、その先も、できることをやります。こんな自分語り、あんまり柄じゃありませんが、せっかく書いたのでシェアしときます〜(^^)ここまで読んでくださった方がもしいるのなら…ありがとうございます!😊これからも宜しくおねがいします!

大分析をする前の助言〜陰陽の視点から〜

大分析って何を書かせてよいか、どういうことに注意させればよいか迷われている方もいると思います。
今日、ちょうどそんな話を子どもたちにしたのでその内容をまとめます。 

大分析の助言〜陰陽の視点から〜

陰陽論の視点から学習を見た時の分類(下表)

この話の前提となるのでさっと見てください。
この話をする前にはこの表を黒板に書きました。

陽は「横、広がり、やりたいこと、浅く広く」
陰は「立て、深まり、やるべきこと、狭く深く」といったイメージがあります。

みんなで

一人で

ケアレスミス

わからない

心に勝つ

苦手がわかる

人に聞く

有効な勉強法を選択する

 

さて。テスト返しが終わりました。
間違い直しもだいたいできましたね。

ではここからは大分析です。勉強内容ではなく、勉強方法を振り返る。
今まで自分が積み上げてきた学習はどうだったか。自分に厳しく、冷静に分析し、成長につなげましょう。

 

まず質と量の視点でみるとどうだろう。
質は月、量は太陽に対応しているんだったよね。 

質が低かった場合は、自分で深く考えることが足りなかった。何を考える?
勉強方法については、自分の苦手は何か、それを乗り越えるためには何が必要かということを考える。これは「学習力のABC(※1)」のBとCですね。
勉強内容については、なぜその答えになるのかと考える。whyは月の道具ですね。 

量が足りなかった場合はこう分析しよう。
まず、心に勝つことができていない。これは学習力ABCのA。「いいやまだまだ」と自分に厳しくできていないから量が足りなくなるんだよね。甘い。そしてそれはケアレスミスにもつながる。わかっているのに間違えた。なぜだ?慣れていないから。見直しはその次の話だ。まずは本番の状況にどれだけ慣れていたか。これが大切。そのためには本番のような状況でたくさん練習しなきゃならない。

みんなでやる勉強は、量を確保するときに役立つよね。集中してがーー!っとやる。
反対に、思考を深めるときにはまず月。自分で深く考える月の学習が前提にないと、ただおしゃべりして終わる。こんなことよくあるよね。 

マンダラに目を移しましょう。
ここにも月と太陽があるね。どこだろう?
そう。左上のこのゾーンは月だ。
左下のこのゾーンは太陽。
そして賢くなるのはこのゾーンだ。考える力ゾーン。
ここにどれだけ長くいることができるか。これがきみたちの学力を決定する。

 

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教えてもらう前に、自分でよく考えなくてはいけないんだ。
教えて上げる前には、説明をしあわなければならないんだ。

では学校と家、どちらのステージでどういう勉強をすればいいか。
学校はみんながいるので太陽の属性が強いね。家は一人なので月。 

月は家でできる。注意点はマンダラの月4つの内、上2つで止まらないこと。
つまり、解ける解ける〜♪だけではだめなんだ。
下2つに行けるかどうかが勝負。月の努力。質につながる。
ナゼ?と掘り下げる。なぜその答えになるのか。
自分の苦手は何か、どうすればいいか。と掘り下げる

太陽は学校でできる。注意点はマンダラの太陽4つの内、上2つで止まらないこと。
上2つに行けるかが勝負。太陽の努力。量につながる。
心に勝つために、仲間と勉強するんだ。大量に問題を解く。大量に説明をする。
大量にああでもないこうでもないと思考を巡らせる。
どうしても一人では乗り越えられない壁をのりこえるために仲間と勉強をするんだ。

こうして質と量を確保する。

さらに、この考える力ゾーンを回転させることもまた大切。
一人で考えたら、誰かと関わる。誰かと関わったら、そこで考えたことをまた一人でまとめる。こういう月と太陽の回転が大切です。

なぜなら、月に止まりすぎると、停止するからです。
太陽に止まりすぎると、分解するからです。
よくわかるよね。一人で考えすぎるとしんどくなってきて頭が止まっちゃうこと。
そしてみんなでワイワイやっているとだんだん遊びが始まって集中力が分解してしまうこと。だから回転が必要。

 

こういう視点を持って勉強をしていきましょう。
月と太陽。両方を高めなければなりません。バランスをたもって、回転させなければなりません。

 

ではこの視点を持って、自分の学習はどうだったかな?

家での勉強は?学校での勉強は?

よく思い出して、大分析をしてみましょう。

 

こんな感じです(^^)